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自分で始めたもののイヤでたまらなかったパブの仕事

アジアンビューティー66
夏さん

自分で始めたもののイヤでたまらなかったパブの仕事

なっちゃん(夏さん)。

ウドーン生まれ、チェンマイ育ち。高校卒業後来日し、大学で日本語を学ぶ。7年前に、上野でアジアンビューティーをオープンした。その柔和な笑顔が訪れる人の心を和ませる。

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私が日本に来たのは、15年前です。高校まで過ごしたチェンマイを離れ、留学するために来日しました。2年間日本語学校で学んだ後、専門学校に通い、その後日本の大学の日本語学科で4年間学びました。日本に来たのは、とにかく海外に出てみたかったからです。来日したばかりの頃の生活は大変でした。寝る時間は1日2~3時間。午前中は学校で勉強、それからタイ料理店とお好み焼き屋さんのバイトをかけもちして、家に帰ったら疲れきって寝るだけ。そんな日々の繰り返しでした。大学に入ってからもアルバイトを続けながら、勉強していましたね。大学はとても楽しかったですよ。日本語学科にはマレーシア人、タイ人、インドネシア人が多くて、留学生同士で仲良く過ごしました。
大学を出てからも会社に就職しようとは思いませんでした。自分で事業をやりたい、という気持ちが強かったんですね。そこで友人たちとタイレストランを始めました。ただ、共同経営というのは難しいですね。やはりお互い考え方が違いますし運営方針が統一できませんでした。その他にもいろいろ問題があって、長くは続きませんでした。

共同経営というのは難しいと身にしみて感じていたので、アジアンビューティーは自分ひとりで始めました。実は私、自分でお店を始めたにも関わらず、パブの仕事が好きではなかったんです。アルバイトで少しは経験していたのですがとても苦痛に思っていました。その頃まで私はパブの仕事は“女の色気”で勝負しないといけないと思っていて、“接客は恋愛”だと思っていたんです。だから仕事を好きになれなかったんです。そんな気持ちでやっている仕事がうまくいくわけありませんよね。思ったように売上が伸びずに悩んでいました。
お店を始めて試行錯誤を繰り返し2年が経った頃、やっと自分自身の仕事に対する考え方が明確になり、気持ちの整理ができたのです。
「パブというのは、お客さんを楽しませ、癒し、心の中に元気を注入する場所だ。それと違うやり方をしたら、絶対に長続きはしない」と。

この気づきで私の仕事に対する思いもお店の売上も一気に変わりました。女であることを売りにしなくていいんだ。自分自身の人間性を売りにすればいいんだ! お客さんを癒して元気にすることができるなんて、なんてすばらしい仕事なんだろうと。だから、パブで働いているタイ人の女性たちにも言いたいんです。この仕事は恥ずかしい仕事じゃないよ、誇りにしていいんだよと。

 

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いい店づくりのためにはいいスタッフを育てることが大事!
お店を経営していく上で難しいのは、人を育てることです。今、アジアンビューティーには15人の女の子がいますが、それだけスタッフがいると、私自身がここをどんな店にしたいのかというコンセプトを持つことがとても大事で、その思いがぶれてはいけないと思っています。私が迷ってしまったら、スタッフをきちんと指導することはできませんから。

私の目標は、「楽しかった、また来るよ」とお客さんに言ってもらえるお店にすることです。私にとってこの仕事は天職だと思っています。本当に楽しいの。お店にはさまざまなお客さんが来てくれて、その方の話しを聞いているだけで、ものすごく勉強になります。日本人は、人のいいところを見て、悪口を言わないですね。そして心が若い。多分若い女の子と話すことで若返るのでしょうね。そこが日本人のすばらしいところだと思います。

アジアンビューティーの女の子たちは、一度働き始めると、長く勤めてくれます。パブの業界はママやチーママが厳しかったりするんですが、うちのチーママは、私が見てもやさしすぎるんじゃない? と思うくらい優しいの。新しい女の子が入ってきても、仕事を教えなかったり、女の子同士で競争させたりすることが多いのですが私はそういうことはしたくない。仕事に対する心構えや具体的なやり方、お客さんへのメールの送り方……。必要なことはなんでも教えます。そして何よりも教えたいのは、この仕事が楽しくて、自慢していいものなんだということ。堂々としていてほしいの。自分の色気、女の部分を使わなくても、きちんと気遣いできる人間性を見せられたら、お客さんはまた、この店を選んで来てくださるんです。そうすると、自分自身の収入も増えるのだから。

アジアンビューティーはたくさんのチャンスが転がる宝の山

アジアンビューティーの店内。
シンプルと上品さを併せ持つインテリアが魅力。

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タイ人の女性達は、日本にどのくらいいるのか判りません。私のようにずっと日本で暮らす人もいれば、数年で帰る人もいます。だからこそ、タイ人の女性達には、日本に居る間に、仕事以外の時間もさまざまな日本体験をしてほしいと思っています。そのために、年に一度は社員旅行に行き、月に一度、みんなで食事会をします。昨年の社員旅行では、スキーと温泉に行きました。雪やスキーが初めての人がほとんどでみんな大騒ぎ。楽しかった。食事会は中華料理店やふぐ料理店、寿司やイタリアンなどいろんな料理を食べさせてあげたいと思っていますが、やっぱりタイ人にとって日本食や中華料理の味付けはちょっと物足りないみたい。ふぐは本当に不評でしたね(笑)。結局タイ料理店か焼き肉に行くと、一番喜んでもらえるみたい。食事会は仕事が終わってから行きますが、ものすごく盛り上がります。みんな思い思いにおしゃべりして。みんな一切、仕事の話しはしませんね。経営者としては、みんなにも、もう少し仕事の話しをしてもらいたい気はしますが、タイ人はプライベートの時間に仕事は持ち込まないのが普通です。だから、みんなが仲良くなれたらそれでいいかな、と思っています。

アジアンビューティーは働きやすくて、楽しい店だと思いますよ。ボーナスは毎週出るからやりがいもあります。先ほども言いましたが、私はみんなにこの仕事の本当の素晴らしさを知ってもらいたいと思っています。なぜタイ人が日本で仕事をするのか、それは人によっていろいろな事情があって、いろいろな形があります。でも、ここは日本語の勉強になるのはもちろん、人を喜ばせ、和ませるための会話術が勉強できて、自分を高めるためのチャンスがたくさんある場所です。もし、自分自身ががんばって指名がとれれば、収入も増えます。まさに“宝の山”なんです。その宝が見つけられるかどうかは、自分次第です。今、私はみんなのお母さんみたいな気分でいます。最初は何をしたらいいのかわからなかった女の子が、きちんと心遣いや会話ができてお客さんがつくようになり、私やチーママがフォローしなくてもよくなる。そうやって成長してくれることが、ものすごくうれしい。ここで働く全ての女性たちが、自分の将来のためになるものが見つかる場所になれば、これ以上うれしいことはないですね。

Thailand club Asian Beauty66
アジアンビューティー66
東京都台東区上野2-10-8 第5藤井ビル3F
3F the 5th fujii bldg.2-10-8 ueno taito-ku Tokyo
03-3836-2115
080-1330-8684(夏さんの携帯)
20:00~深夜1:00 土曜日20:00~24:00
日曜・祝日休
kanchana@asianbeauty66.com