カテゴリーから探す
場所から探す
東京都
関東
北海道・東北
甲信越・北陸
東海
関西
中国
四国
九州・沖縄
タイ県
BTS
MRT
ARL
ワイワイタイランド.COM >  コラムカテゴリ >  サワッディー!お隣のタイ人 >  巣鴨でスタートさせたタイ古式マッサージの学校

巣鴨でスタートさせたタイ古式マッサージの学校

ソラウィット・チャイピンチャナ・ソムキャットさん

チェンマイの政府公認オールドメディスンタイマッサージスクール主任教授を経て、チェンマイ医師集団委員を歴任。臨床でも3,000人以上の臨床経験の実績を持ち、チェンマイにおける正統な古式マッサージの伝承を伝える第一人者。シヴァカヒーリングアカデミー代表取締役。

118_01

巣鴨でスタートさせたタイ古式マッサージの学校
今日はこの後、用事がありますか? ないなら、インタビューが終わったらご飯を一緒に食べましょう。僕がパッタイ作りますから。タイ料理、大丈夫? パッタイ好きですか? 料理は小さいときから好きでした。母が台所で料理を作るのをいつもそばで見ていましたね。ここ(ランナータイ)にいらしたお客さんや生徒さんとも一緒にご飯を食べることが多いですよ。

ランナータイは、2006年4月に開いたタイ古式マッサージのサロンで、今年の6月からはタイ古式マッサージの講座もスタートし、僕が教えています。ベーシックコースでは、チェンマイにあるオールドメディスンホスピタル・タイマッサージスクールのベーシックコース・カリキュラムをそのまま学び、基礎をしっかり身につけます。プロフェッショナルコース、その他のコースでは僕自身が構成したテキストを使い、施術のバリエーションを増やします。

以前は青山の学校で教えていました。巣鴨に移ったのは、タイ人の友人が住んでいることもありましたが、サラーのジャプーが「ここならいいよ」と、おっしゃったからです。ジャプーというのは神様のことです。サラーは、お寺とはちがうのですが、お祈りをしたり、瞑想やマッサージの勉強ができるところです。日本語では、ぴったりくる言葉がないですねえ。タイにはサラーがたくさんありますが、その中でも、サラージャプーはたくさんのジャプーが降りて来てくださる特別なところ。ジャプーは毎日、私たちのところへ降りて来てくださり、病気を治し、心の悩みに応えてくださいます。

今も私は1年に一度、必ずサラージャプーを訪れ、祈りの会を催します。祈りの会ではたくさんの神様が降りて来て、1年間のカルマを落とし、みなさんにパワーをくださいます。今年は4月に行いました。とても盛大ですばらしい会でしたが、とても暑くて。もう4月にタイには行きたくないと思うくらいです(笑)
人生を変えた足の病とサラージャプーとの出会い

2010年4月12日、ソムキャットさんがサラージャプーで開いた祈りの会。1年のカルマを落としてくれるろうそくを灯すと、祈りの会がスタートする。

118_02

私が日々働いているのは、サラーにタンブン(お布施)したいため、といってもいいかもしれません。なぜこれほどまでにサラーへの想いがあるかというと、私自身がジャプーに命を助けていただいたからです。故郷チェンマイで暮らしていた19年前のこと。私は右脚だけが急にやせ衰え、歩くことさえ困難になる病にかかりました。さまざまな病院で診察を受けましたが、原因も治療法も不明。途方に暮れた私は、サムナックナムチャムというサラージャプーに行き、シャーマンの先生に診ていただきました。サラーにはさまざまな人が訪れます。身体が痛いが、原因が分からない人、人生に迷いがある人、恋愛運を知りたい人……。人々はジャプーに相談をし、ジャプーは、その一人一人に瞑想するべきか、マッサージを受けるべきか、など解決の方法を教えてくださいます。タイ人は因果応報、輪廻転生を信じています。私の場合は、前世に悪いことをした報いが、身体に出ているから、悔い改め瞑想しなさいと言われました。さらにボーンナイフの治療を施されたのです。

ボーンナイフは、古くから伝わる医療技術のひとつです。筋肉や腱に痛みやコリが生じてしまった場合に、動物の牙の骨をナイフ替わりに、患部の奥深くに潜む毒素の固まりを削り落とすのです。私はサラーで暮らしながら、週に3回この治療を受けていました。ボーンナイフはとっても痛いですよ。施術後の患部は赤く腫れ上がります。私は天井からつり下げたロープにしがみつき、口にはタオルをくわえて治療を受けていたほどです。約1ヶ月半この治療を受けたところ、どの病院でも治療不可能と言われた脚は、もとの健康な太さに戻りました。その状態は今も変わりません。私の脚はジャプーが治してくださったのです。

サラーには、マッサージ技術者、ヒーラー、まかない、通訳など、大勢の人々がいます。私にとって、皆ファミリーです。サラーではヒーリングやマッサージなどを施しても、一切お金はいただきません。そこにいる人々も全員ボランティアのようなもの。では何で成り立っているかというと、すべてタンブンです。今私は、このサロンでもボーンナイフやスモークヒーリングなどを行いますが、サラーで学ばせていただいたものに関して、お金は一切いただきません。しかし中にはタンブンやチップとして、お金を置いて行ってくださる方もいます。そのお金はお祈りの会やサラーの施設を修繕するための資金として使わせていただいています。

私は3年間サラーで暮らし、瞑想法やボーンナイフ、体内から邪気を追い払うスモークヒーリングなどを学び、サラーを訪れる人々に施術をするようになりました。その後、オールドメディスンタイマッサージスクールの現校長ワーサン・チャイサカン氏の父であるシントーン・チャイサカン先生の元でタイ古式マッサージの技術を習得。スクールの主任教授となり、チェンマイやバンコクでタイ古式マッサージを教えていました。

タイ古式マッサージで最も大切な“心”を伝えていきたい

タイ古式マッサージは、この部屋で施される。サロンのインテリアは全てソムキャットさんの手作り。

118_03

初めて日本に来たのは2005年10月です。日本に来た理由は、日本でタイ古式マッサージを教えるため。日本人を社長に4人で会社を立ち上げ、青山に学校を作りました。しかしいろいろ事情があり、今年1月、学校は休止してしまいました。3月、これから先どうするか分からない状態でチェンマイに行ったとき、ジャプーは「あなたはこれからも日本にいる」とおっしゃったのです。ビザも切れるし無理だと思いましたが、4月に日本に戻って、自分がここでやろうと決心しました。継続することが大切だと思ったのです。

最初にお話しした、古式マッサージのベーシックコースは60時間。サロンでの仕事を考えているなら、その時間だけではとても覚えきれません。ですから、ここで教えた方やチェンマイのスクールで学んだ方は、ここで何度でも練習していただいてかまいません。私は余計なところでお金を取る必要はないと思っていますので、無料です。タイ古式マッサージは、技術が大切なのはもちろんですが、本当に学んでもらいたいのは、マッサージの心。心ですから、お金をとりません。

巣鴨はいいところですよ。青山に居た頃も目の前に公園があり、緑がありました。この場所でやっているのは、目の前に公園があり、緑が豊だったからです。緑があるとリラックスできますし、幸せですよね。お客さんがいないときやお休みの日は、公園で本を読んだり、リラックスしています。

今後の展望ですか? わかりません(笑)。とにかく自分の持てる技術を学びたいと思う人々にきちんと伝承していこうと思っています。私は毎年サラーで祈りの会を行うことで、たくさんのパワーをいただいてきます。そのパワーを日本の皆さんにお分けしたいと思っています。いつかは、ここを訪れる人々と一緒に、サラーに行けるようにしたいですね。

ランナータイ/シヴァカヒーリングアカデミー株式会社
東京都文京区千石4-14-11 三好コーポ101
03-3944-8207
営業時間 10時~23時(時間相談可能)
定休日 不定休

http://lannathai.jp