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ワイワイタイランド.COM >  コラムカテゴリ >  サワッディー!お隣のタイ人 >  「タイ文化を広めたい」思いで開いたゴージャスな本格タイ料理店

「タイ文化を広めたい」思いで開いたゴージャスな本格タイ料理店

 

タナ・パンラットさん

1997年来日。タイ東部のプラチンブリ県出身。府中にある人気タイ料理店スイタイのオーナー。愛息子の優博くんは小学校2年生。優博くんは、お母さん譲りで大の運動好き。サッカーや水泳に夢中だとか。

 

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私が日本に来て、今年で13年になります。きっかけはタイで日本企業に就職したこと。その前から妹が日本人と結婚して、日本に住んでいたこともあって、日本に行ってみたいという思いがありました。そんなとき、日本で日本語を勉強しないか、という話しが社長からあり、私は2年間日本で暮らすことになったのです。妹と一緒に府中で暮らし、学校で日本語を勉強しながら、週末は妹が経営するスナックでアルバイトをする生活をしていました。
学校に通って1年経った頃、会社から「そろそろタイに帰って来ないか」と言われました。でも、私は帰りたくなかった。会社を辞め、その後日本人の主人と結婚しました。日本にいたかったのは、夢があったからです。日本に来て、日本とタイの文化の違いを知るようになりましたが、日本人が優しいこと、日本人はタイ料理が大好きだということもわかり、次第に自分でレストランが持ちたい! という思いが生まれてきたのです。主人はそんな私を見て、「やりたいならやってもいいよ」と言ってくれました。

最初のレストラン“スナック スイタイ”は11年前にオープンしました。20人入ればいっぱいになるような小さな店ですがとても繁盛しました。そこで、5年前に2軒目となる“パブ スイタイ”を府中でオープン。3店舗目の“レストラン スイタイ”は、5月16日で3周年を迎えました。

6年前、“レストラン スイタイ”が入っているビルが建設中の頃、テナント募集の看板を見て、「ぜったいここでお店をやりたい!」と思い、面接に行き、ここでお店をやらせてほしいとお願いしました。それまでのお店も一生懸命やってきたけれど、規模が小さくて、どこか足りない感じがありました。だから今度はこの広い場所に、タイからあらゆるものを運び入れて、本当にタイらしいお店を開いて、タイの文化を日本人にわかってもらえるお店にしたい、そう思ったのです。でも、ビルができても私に声はかからず、ダメだったのかと諦め、近くに2軒目の店を開きました。

ところが、ビルができて1年後、突然「このビルに入ってください」という話がきてびっくり。大急ぎでタイに行き、家具や調度品、陶器などを集めました。1週間タイ各地を飛び回り買い付けをして帰国、その後の1週間は日本で準備、次の週にはまたタイに行く。そんなスケジュールでした。何しろオープンまでたった2ヶ月しかありませんでしたから。タイで買った家具が横浜港の税関をパスしたのは、オープンのわずか3日前。大変だったけれど、楽しかったしうれしかったですね。お店がオープンして、お客さんが「すごい! タイだ!」と言ってくださるのがうれしくて。店内にあるタイの装飾やタイの文化について、お客さんに説明できるのもうれしい。
みんな問題があるのは当たり前! それを乗り越えて、笑顔で仕事をしたい

甥のスパシャイさん、従妹のパチャリーポーンさんは、「二人とも私の息子と娘のようなもの」とタナさん。

スイタイのスタッフは全員タイ人です。全員私がタイで面接して、手続きも自分でしました。日本で働くタイ人には、日本に来た目的をはっきりさせて、自分の仕事に責任をもち、楽しい気持ちで働いてほしいと思っています。やる気があって頑張っている人には日本でのチャンスをあげたいですね。自分が気持ちよく働いて得たお給料をタイで待つ家族に送って、家族みんなで幸せになってほしい。これは私がいつも願っていることです。お金が大切なのは当たり前です。だけど、一生懸命仕事しなければ、お金は入ってこない。会社のルールを守って、タイ人にがんばってもらいたい。

面接をするときは、給料のことや日本のイメージも聞きます。日本での生活に溶け込んでほしいですから。みんな何かしら問題を持っているのは当たり前。私にだって問題はある。でも、仕事をするときは、笑顔でいる、挨拶する、時間を守る、そういうルールを守ってほしいのです。今、お店で働いてくれているスタッフはみんなパワーがあります。ママががんばるから私もがんばる。そう言ってくれます。
元気の源は食と運動! 病を克服したことで知った、健康の大切さ

スイタイの客席数は何と80! タナさんがコーディネートした店内は、まさにタイ文化一色。ゴージャスで美しいインテリアには驚かされる。

だから私はいくらでもがんばれますよ! 私が子供の頃、貧しかったことも大きいと思います。私はチョンブリの近くにあるプラチンブリの出身。父は僧侶で軍隊出身でしたから、とても厳しかったですね。母はカノムチン(素麺)のお店をやっていて、私は朝早くから夜まで働く母の姿を見てきましたし、7歳くらいからお手伝いで皿を洗い、ラーメン屋さんでアルバイトもしました。だから私も料理は得意なんです。

お母さんが作るカノムチンナムヤーは本当においしい! 私がタイに帰るときは、お母さんは野菜のスープやタケノコのスープ、ナムプリックプラーを作って待っていてくれます。田舎料理なので、皆さんが考えるタイ料理とは違うかもしれませんね。野菜を中心にした本当にヘルシーな料理ですよ。
13年前、私が日本に来たとき、季節は冬でした。初めて冬を体験したことで風邪は引くし、言葉はわからないし、食事も合わない、学校では毎日20もの漢字を覚えないといけない……。そんな生活を送るうちに、私は体調を崩し、喘息になってしまいました。毎日100錠近い薬を飲まなければいけなくて、副作用で太り、肌にはシミができ、髪も抜けました。夜中に発作が起きて救急車を呼んだことも3、4回あります。

このままではいけないと思い、さまざまな本を読みあさりました。そして食事と運動の大切さに気づいたのです。自炊を始め、レモングラスティーなど身体を温めるお茶を飲み、少しずつ薬の量を減らし、規則正しい生活を送るようにしました。するとちょっとずつ身体の調子がよくなってきたんです。結局3年かかりましたが、完全に治りました。私は今48歳ですが、息子の優博(まさひろ)を生んだのは40歳のときです。

食べる、飲む、排泄する、これらは本当に大事。これは私が体験したから言えることです。今の食事は玄米、野菜と魚、豆腐が中心で、肉はほとんど食べません。とにかく豆腐が大好きで、コックさんには豆腐のナムプリックや鶏肉の代わりに豆腐を使ったカオマンガイを作ってもらいます。肉を使わなくても、コックさんの腕があるから本当においしいんです。そうそう、メニューにはラープ豆腐もあるんですよ! 本当においしいから、ぜひ食べに来てください。

今、私は風邪も引かないし、運動も大好き。朝は5時に起きて、94歳になるおばあちゃん(ご主人のお母さん)と一緒に玄米と納豆、野菜、味噌汁の朝ご飯を食べ、息子のお弁当を作ります。8時にお店に来てお線香を焚いたら、その日の予約をチェックして、店の準備を始めます。ランチタイムの後、時間があればジムに行って運動したり、プールで泳いだり、ベリーダンスを習ったり……。サウナに入ってリフレッシュしたら、またお店に戻ります。レストランが終わったら、スナックにも行きます。そこは朝まで営業することもありますよ。毎日忙しいけれど、本当に楽しいです。

もちろん私にも、いろいろな問題があります。どんな人にもあるようにね。でも、それらの問題をひとつひとつ解決していかないと、人間は大きくなれないと思うのです。今日は今日! 問題があって当たり前。明日になったらまたがんばろう! そう思います。お店のスタッフはみんないい子ばかりだし、お客さんからはいつもパワーをいただいています。いつも来てくれるサカモトさんというお客さんは、毎回スタッフ全員におみやげをくれるの。すごくいい人。そういういいお客さんがたくさん来てくださるんです。私にとって、家族は一番の宝物ですが、お客さんも宝物です。仕事=趣味で、この店は私の家みたいなもの。大好きで大切な場所です。このお店を通して、府中の人々に、もっともっと、タイを理解してもらいたい。そう思っています。

スイタイ
東京都府中市宮西町1-5-1 フラココ第8ビル2F
042-365-9969
ランチ11:00~15:00、ディナー17:00~23:00
無休
京王線府中駅から徒歩1分